Est. 1987-企友会(バンクーバー日系ビジネス協会)

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平成時代を振り返り、これから世界はどうなるの?

2019-03-16T21:26:24-07:00

今年は平成最後の年になり、この30年を振り返ってみますと、 平成時代は20世紀から21世紀への橋渡しの時代であり、人類の政治、経済、イデオロギーの大転換期でもありました。NHK制作の“映像の世紀”なんかを見ると20世紀はまさに戦争の時代で、産業革命を経て資本主義による飛躍的な経済発展の時代であったわけですが、それに続く平成時代の始まりには、東西冷戦の終結に始まりヨーロッパが統合され、世界中であらゆる規制緩和が行われ資本主義がどんどん進行し、さらにはコンピュータの発達による情報革命が起こり、ひと・もの・かねが自由にしかも迅速に行き来するグローバル社会の始まりでありました。 ところが21世紀に入り、アメリカ同時テロ事件が発生し世界中で治安が不安定になりました。経済ではリーマン・ショックによる世界経済の停滞が始まり、中東諸国の民族紛争や国際テロそして大規模な難民移動が起ったことにより、EUのイデオロギーがぐらつき、ついにイギリスがEUから離脱し、EU各国でも自由貿易による格差拡大から保護主義が台頭しています。アメリカにおいてもグローバル化された自由貿易による格差拡大で、白人中間層の不公平感がポピュリズムを促しトランプ大統領に代表されるような自国中心主義(反グローバル主義)が台頭しています。 一方アジアに目を向けても、グローバル化により中国やインドが大きく経済発展し、世界の政治・経済に大きな影響力を行使しています。特に中国は一帯一路構想で世界経済の主導権を握ろうとする覇権主義でアメリカとの貿易戦争が始まっています。日本では、デフレから脱却できず経済成長が低迷したまま、少子高齢化社会が始まり税収減による医療・介護・年金問題を抱え、働き盛りの若年層の将来不安が広まっています。 このように平成時代(1990年~2019年)では、世界はグローバル化が進展したことにより経済が大きく発展してきた一方で、国家や個人の格差拡大、民族紛争、国際的なテロ活動、難民の大移動さらにはイデオロギーの対立、衝突があり、まさに混迷で未来が見えない世界に我々は生きているわけです。 ・アメリカ中心の資本主義経済は限界なのか、格差社会はどうなるのか? ・民主主義(自由、平等、人権)は永遠の夢なのか? ・私たち人類はこれからどこに向かっていくのか? こんな疑問がわいてきた時、昨年世界のベストセラーと言われた本”サピエンス全史“(著者 ユバル・ノア・ハラリ)に出会いました。NHK番組のクローズアップ現代でも放送され注目を浴びた本です。 内容は、人類(ホモサピエンス)の石器時代から現代21世紀までの人類史を振り返り、今までとは全く違った視野・観点で人類の行動・能力・文化を分析して、現代社会の抱える課題、矛盾を明らかにし、21世紀以降の”人類の幸福とは何か、幸福を何に求めるのか”といったものすごい大きなテーマを提起した本であります。 これからの世界について作者は、 ・『世界を支配してきた西洋文明のキーワードは“近代科学”と“資本主義”の発展である。 ・それは、“未知の領域を探検し、その領域を征服したら、飽くことなく次の道の世界をめざす”という共通した考え方ある。 ・“近代科学”は、さらなるコンピュータの進歩によるロボットや人工知能の登場そしてバイオテクノロジーの進化は目覚ましいものがあり、世界を大きく変える可能性がある。 ・そして、人類はどんな未来を過ごしたいのか、しっかりとビジョンを持ち、幸せな道を進む賢い選択をする。そのためには、科学と政治は、もっと協力し合わなければないない。 ・“資本主義”はそれに代わる新たな仕組みが必要になるかもしれない。』 最後に『未来を切り開く鍵は、私たち人間が欲望をコントロールできるかどうか』と説いている。 まだ読んでおられない方に是非読んでいただきたい本です。 今年も世界は政治・経済・イデオロギーの対立、衝突が続くでしょう。 歴史を振り返り、この本から垣間見た人類の未来の姿を一考するのもいいかもしれません。

平成時代を振り返り、これから世界はどうなるの?2019-03-16T21:26:24-07:00